OpenAIが新世代AIモデル「GPT-4.1」シリーズを発表

次世代のAI開発を加速するGPT-4.1ファミリー
OpenAIは2025年4月14日(米国時間)、最新の大規模言語モデル「GPT-4.1」ファミリーを発表しました。今回リリースされたのは「GPT-4.1」「GPT-4.1 mini」「GPT-4.1 nano」の3種類のモデルで、API経由での提供が開始されています。
主な特徴と進化点
1. 大幅に向上したコーディング能力
新モデルではコーディング能力が大幅に強化され、ソフトウェア開発ベンチマーク「SWE-bench Verified」において54.6%のスコアを達成しました。これは従来のGPT-4oの33.2%、GPT-4.5の38.0%から大きく向上しています。特にフロントエンド開発においては、OpenAIの人間評価者による比較テストで80%のケースでGPT-4.1の生成したWebサイトが好まれるという結果が出ています。
2. 飛躍的に拡大した文脈理解能力
全モデルが最大100万トークンの文脈ウィンドウに対応し、従来のGPT-4oの128,000トークンから約8倍に拡大しました。これにより、法務文書の精査や大規模コードベースの理解、長時間の会話記録分析など、膨大なテキストを扱う複雑なタスクにも対応可能になっています。また、OpenAIによると2024年6月までの情報が学習済みとなっています。
3. 高い費用対効果と最適化
すべてのモデルがコスト効率を重視した設計となっており、GPT-4.1は従来のGPT-4oより26%安い価格設定となっています。GPT-4.1は入力100万トークンあたり2ドル、出力100万トークンあたり8ドル、GPT-4.1 miniはそれぞれ0.40ドルと1.60ドル、最も小型のGPT-4.1 nanoはさらに低コストの0.10ドルと0.40ドルとなっています。
実用化に向けた具体的な改善点
実世界のソフトウェア開発ニーズに応えるため、GPT-4.1では以下の点が特に強化されています:
- コード差分(Diff)生成の信頼性向上:既存コードの一部だけを修正する「diffフォーマット」での出力信頼性が大幅に向上。Aiderの多言語diffベンチマークでは、GPT-4oの2倍以上のスコアを達成しています。
- 最大出力トークン数の拡張:ファイル全体を書き換えるユースケースのため、GPT-4.1の最大出力トークン数はGPT-4oの16,384から倍増して32,768トークンとなりました。
これらの改善により、GPT-4.1はユーザーに代わり自立してタスクを達成するエージェントとしても効果的に機能します。リアルタイムのソフトウェアエンジニアリング、大規模ドキュメントからの洞察抽出、最小限のサポートでの顧客対応など、複雑なタスクにおいてより信頼性の高いエージェントを構築できるようになりました。
実証例と今後の展望
複数の企業ですでに実証が始まっており、例えばThomson Reutersが同社のAIアシスタント「CoCounsel」にGPT-4.1を組み込んだところ、複数文書レビューの精度が17%向上し、複数ソース間の矛盾検出や関連文の抽出において信頼性が高まったという結果が報告されています。
OpenAIはこの新モデルをステップとして、将来的には「agentic software engineer(エージェント型ソフトウェアエンジニア)」の創出を目指しています。OpenAIのCFO Sarah Friarは先月ロンドンでのテックサミットで、将来のモデルがアプリケーションを完全に設計・実装し、品質保証やバグテスト、ドキュメント作成まで一貫して行えるようになることを目指していると述べています。
GPT-4.1ファミリーモデルの提供状況
現在、GPT-4.1シリーズの各モデルはAPI経由でのみ提供されており、ChatGPTのインターフェースでは直接利用できません。しかし、OpenAIによれば、GPT-4.1で実現された命令追従性やコーディング、知能に関する改善点の多くは、既に最新版のGPT-4oに段階的に組み込まれつつあり、今後も継続的に反映される予定です。
また、この発表に伴い、これまでプレビュー版として提供されていたGPT-4.5 Previewは、GPT-4.1がより低コスト・低遅延で同等以上の性能を発揮することから、2025年7月14日をもって廃止されることが決定しました。

まとめ
GPT-4.1シリーズの登場により、AIによるコード生成とソフトウェア開発支援は新たな段階に入りました。大幅な性能向上と同時にコスト効率も高められたこれらのモデルは、企業のAI導入を加速させる原動力となることでしょう。特にソフトウェア開発の分野では、より高度で複雑なタスクをAIに任せることが可能となり、開発者の生産性向上に大きく貢献すると期待されます。
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