Open WebUIを用いた社内GPT構築ガイド

Open WebUIを用いた社内GPT構築ガイド

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はじめに

ChatGPT などの生成 AI を業務に活用する企業が増える一方で、コスト機密情報の保護 を理由に導入を躊躇するケースも少なくありません。  

本記事では、オープンソースのチャット UI である Open WebUI をベースに、Google Cloud 上で “社内 GPT” を構築した事例を紹介します。

Open WebUI を採用するメリット

UI 実装コストがかからない

APIの従量課金によりコストを最適化できる

・ ローカルモデルと組み合わせれば社内ネットワーク内で運用可能 


背景・動機

当社でも生成 AI を利用したいという声は多くありましたが、主にコストの面で問題がありました。例えば、ChatGPTのTeamプランでは1ユーザーあたり月25ドル(2025/04/24現在)のコストがかかります。

部署・個人によって利用頻度が大きく異なること、API ベースなら使った分だけ支払う形にできることから、APIを利用した社内GPTを実装することにしました。

しかし、UIを1から実装するにはコストがかかるためOSSである、OpenWebUIを利用しました。

これにより、UI 開発にかかる初期コストを削減しつつ、運用コストも抑えることに成功しました。

完成イメージ

完成した社内GPTは、以下のようなChatGPT ライクな UI となっております。


実装環境

Open WebUIのデプロイ先として、Google Cloudのサービスを利用しています。

・ Cloud Run … デプロイ環境

・ Cloud Storage … 永続ストレージ

・ Artifact Registry … Dockerイメージの保存先

実装フロー

Open WebUIは以下の2ステップでGoogle Cloud Runにデプロイ可能です。

  1. Docker イメージをArtifact Registryにプッシュ
  2. イメージからCloud Runの作成

1.Docker イメージをArtifact Registryにプッシュ

# Docker イメージのプル
docker pull ghcr.io/open-webui/open-webui:main 

# 認証を構成 
gcloud auth configure-docker asia-northeast1-docker.pkg.dev 

# イメージにレジストリ名をタグ付け 
docker tag ghcr.io/open-webui/open-webui:main asia-northeast1-docker.pkg.dev/{project_name}/openwebui/openwebui-image:tag1 

# Docker イメージをArtifact Registryにプッシュ
docker push asia-northeast1-docker.pkg.dev/{project_name}/openwebui/openwebui-image:tag1

2.保存したイメージからCloud Runの作成

    1. Cloud Runの設定
      1. メモリを2GiB以上に設定
    2. 環境変数の設定
      1. 環境変数としてOPEN_API_KEYを設定(Secret Manager推奨)
    3. ボリュームのマウント
      1. ボリュームをCloud Storageで作成し、/app/backend/dataにマウント

主な機能

Open WebUIで実装できるチャットツールには、以下のような多様な機能が実装されています。

  • リアルタイムチャット
    • OpenAI/Ollama/Anthoropic など複数エンドポイントに切替可能
  • 画像生成
    • DALL·E 3/Stable Diffusion に対応
  • Web 検索ツール
    • DuckDuckGo API などを用いて要約を自動挿入
  • コード実行 / インタープリタ
    • Python サンドボックスでスニペット実行し結果を返却
  • RAG(社内ドキュメント検索)
    • PDF・Office ファイル・テキストをアップロードし、埋め込み検索で回答
  • 音声入出力
    • STT: Whisper 等でマイク入力 → 文字起こし
    • TTS: 回答を読み上げ
  • 会話テンプレート
    • “FAQ ボット”“要約モード” などプリセットをワンクリック選択
  • チャット履歴エクスポート
    • Markdown / JSON / PDF でダウンロード可能

セキュリティ

Open WebUIは認証およびアクセス制御に関しても、以下のようなセキュアで拡張性の高い機能を備えています。

  • ロール & グループによる権限制御
    • Admin / User+カスタムグループで機能ごとに ON/OFF可能
  • OAuth 認証
    • OAuth 2.0(OpenID Connect)を利用し、Google Workspace や Microsoft Entra ID などと連携した SSO 認証が可能

まとめ

Open WebUI を活用することで UI 実装コストを削減しつつ、運用コストを最小限に抑えた社内 GPT を構築できました。

・ 生成 AI を導入したいもののコストが障壁になっている

・ クローズド環境での運用が必須

という企業のご参考になれば幸いです。