Open WebUIを用いた社内GPT構築ガイド——ChatGPT Teamとのコスト比較と導入ステップ
はじめに
ChatGPTなどの生成AIを業務に活用する企業が増える一方で、コストや機密情報の保護を理由に導入を躊躇するケースも少なくありません。
本記事では、オープンソースのチャットUIであるOpen WebUIをベースに、Google Cloud上で「社内GPT」を構築した事例を紹介します。実際の構成、コスト実績、セキュリティ設定まで、導入検討に必要な情報をまとめました。
Open WebUIを採用するメリット
- UI実装コストがかからない——チャットUIをゼロから開発する必要がない
- APIの従量課金によりコストを最適化できる——使わないユーザーのコストがゼロ
- Google Workspace SSOとの連携で既存の認証基盤をそのまま活用可能
- RAG機能で社内ドキュメントの検索・参照にも対応
なぜChatGPT Teamではなく自社構築なのか
ChatGPT Teamプランは1ユーザーあたり月額25ドル(2025年4月時点)。10名で利用すれば月250ドル、50名なら月1,250ドルです。

問題は、部署や個人によって利用頻度に大きな差があること。月に数回しか使わないユーザーにも同額のライセンスコストが発生します。
APIベースの社内GPTであれば、使った分だけの従量課金になります。
実際のコスト比較
| 項目 | ChatGPT Team(10名) | Open WebUI + API(10名) |
|---|---|---|
| 月額コスト | 約37,000円($250) | 約10,000〜20,000円 |
| 内訳 | ライセンス固定費 | Cloud Run + Cloud SQL + API従量課金 |
| 利用頻度が低い場合 | 同額 | API費用が下がる |
| 年間コスト差 | — | 約20〜30万円の削減 |
当社(約10名)の実績では、インフラ費用(Cloud Run + Cloud SQL)に加え、APIの利用コストは1人あたり月約5ドル程度でした。利用頻度の高いメンバーとそうでないメンバーの差が大きく、従量課金の恩恵を実感しています。
部署・個人によって利用頻度が大きく異なること、API ベースなら使った分だけ支払う形にできることから、APIを利用した社内GPTを実装することにしました。
しかし、UIを1から実装するにはコストがかかるためOSSである、OpenWebUIを利用しました。
これにより、UI 開発にかかる初期コストを削減しつつ、運用コストも抑えることに成功しました。
完成イメージ
完成した社内GPTは、ChatGPTライクなUIで、特別なトレーニングなしで利用を開始できます。

システム構成
Open WebUIのデプロイ先として、Google Cloudの以下のサービスを利用しています。
- Cloud Run … アプリケーションのデプロイ・実行環境
- Cloud SQL … ユーザーデータ・会話履歴の永続化
- Cloud Storage … アップロードファイルの保存
- Artifact Registry … Dockerイメージの管理

実装手順
ステップ1:DockerイメージをArtifact Registryにプッシュ
# Docker イメージのプル
docker pull ghcr.io/open-webui/open-webui:main
# 認証を構成
gcloud auth configure-docker asia-northeast1-docker.pkg.dev
# イメージにレジストリ名をタグ付け
docker tag ghcr.io/open-webui/open-webui:main \
asia-northeast1-docker.pkg.dev/{project_name}/openwebui/openwebui-image:tag1
# Docker イメージをArtifact Registryにプッシュ
docker push asia-northeast1-docker.pkg.dev/{project_name}/openwebui/openwebui-image:tag1ステップ2:Cloud Runの作成と設定
- リソース設定
- メモリを2GiB以上に設定(Open WebUIの安定動作に必要)
- 環境変数の設定
OPENAI_API_KEYをSecret Manager経由で設定(キーの直書きは避ける)
- ボリュームのマウント
- Cloud Storageバケットを作成し、
/app/backend/dataにマウント
- Cloud Storageバケットを作成し、
ステップ3:Google Workspace SSOの設定
企業導入では認証が重要です。Open WebUIはOAuth 2.0(OpenID Connect)に対応しており、Google Workspaceアカウントでのシングルサインオンが可能です。
これにより、以下のメリットがあります。
- 社員は既存のGoogleアカウントでログイン可能——新しいパスワード管理が不要
- 退職者のアクセスをGoogle Workspace側で一元管理
- Admin / Userロール+カスタムグループで機能ごとにアクセス制御
主な機能
Open WebUIは単なるチャットUIではなく、企業利用に必要な機能が豊富に実装されています。
チャット機能
- OpenAI / Anthropic / Ollamaなど複数のLLMプロバイダーに切替可能
- 会話履歴の保存・エクスポート(Markdown / JSON / PDF)
- 会話テンプレート(FAQボット、要約モードなど)をプリセット登録
RAG(社内ドキュメント検索)
- PDF・Office・テキストファイルをアップロードし、埋め込み検索で回答を生成
- 社内マニュアルやFAQの検索基盤として活用可能
その他の機能
- 画像生成(DALL·E 3 / Stable Diffusion対応)
- Web検索ツール(DuckDuckGo APIなどで最新情報を自動参照)
- コード実行(Pythonサンドボックスでスニペット実行)
- 音声入出力(Whisperによる音声入力、TTS読み上げ)
導入時の注意点
実際に運用してみて気づいた、導入時に検討すべきポイントをまとめます。
コスト管理
- API利用量に上限を設定しておくこと(予想外の大量利用を防ぐ)
- Cloud Runの最小インスタンス数を0にすれば、未使用時のコストを抑えられる(ただしコールドスタートが発生)
セキュリティ
- Secret ManagerでAPIキーを管理し、環境変数への直書きは避ける
- Cloud Runのアクセスを社内ネットワークに限定する場合は、Identity-Aware Proxy(IAP)の併用を検討
運用
- Open WebUIのバージョンアップは頻繁——定期的なイメージ更新の運用フローを決めておく
- ユーザーからのフィードバック収集の仕組みを用意する(どのモデルが使われているか、どんな用途かを把握)
まとめ
Open WebUIを活用することで、UI実装コストを削減しつつ、運用コストを最小限に抑えた社内GPTを構築できました。
当社の実績では、ChatGPT Teamと比較して年間20〜30万円のコスト削減を実現しています。特に、利用頻度にばらつきがある組織では、従量課金モデルのメリットが大きくなります。
以下のような課題をお持ちの企業にとって、参考になれば幸いです。
- 生成AIを導入したいが、全社員分のライセンスコストが障壁になっている
- 機密情報の取り扱い上、外部SaaSの利用に制約がある
- まずは小規模にスタートし、効果を検証してから拡大したい
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Furious Greenでは、Open WebUIをはじめとした社内AI基盤の構築支援を行っています。
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- SSO認証・セキュリティ設定
- RAGによる社内ドキュメント検索の構築
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