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技術紹介
2025年5月9日

Open WebUIを用いた社内GPT構築ガイド——ChatGPT Teamとのコスト比較と導入ステップ

はじめに

ChatGPTなどの生成AIを業務に活用する企業が増える一方で、コスト機密情報の保護を理由に導入を躊躇するケースも少なくありません。

本記事では、オープンソースのチャットUIであるOpen WebUIをベースに、Google Cloud上で「社内GPT」を構築した事例を紹介します。実際の構成、コスト実績、セキュリティ設定まで、導入検討に必要な情報をまとめました。

Open WebUIを採用するメリット

  • UI実装コストがかからない——チャットUIをゼロから開発する必要がない
  • APIの従量課金によりコストを最適化できる——使わないユーザーのコストがゼロ
  • Google Workspace SSOとの連携で既存の認証基盤をそのまま活用可能
  • RAG機能で社内ドキュメントの検索・参照にも対応

なぜChatGPT Teamではなく自社構築なのか

ChatGPT Teamプランは1ユーザーあたり月額25ドル(2025年4月時点)。10名で利用すれば月250ドル、50名なら月1,250ドルです。

問題は、部署や個人によって利用頻度に大きな差があること。月に数回しか使わないユーザーにも同額のライセンスコストが発生します。

APIベースの社内GPTであれば、使った分だけの従量課金になります。

実際のコスト比較

項目ChatGPT Team(10名)Open WebUI + API(10名)
月額コスト約37,000円($250)約10,000〜20,000円
内訳ライセンス固定費Cloud Run + Cloud SQL + API従量課金
利用頻度が低い場合同額API費用が下がる
年間コスト差約20〜30万円の削減
当社(約10名)の実績では、インフラ費用(Cloud Run + Cloud SQL)に加え、APIの利用コストは1人あたり月約5ドル程度でした。利用頻度の高いメンバーとそうでないメンバーの差が大きく、従量課金の恩恵を実感しています。

部署・個人によって利用頻度が大きく異なること、API ベースなら使った分だけ支払う形にできることから、APIを利用した社内GPTを実装することにしました。

しかし、UIを1から実装するにはコストがかかるためOSSである、OpenWebUIを利用しました。

これにより、UI 開発にかかる初期コストを削減しつつ、運用コストも抑えることに成功しました。

完成イメージ

完成した社内GPTは、ChatGPTライクなUIで、特別なトレーニングなしで利用を開始できます。

システム構成

Open WebUIのデプロイ先として、Google Cloudの以下のサービスを利用しています。

  • Cloud Run … アプリケーションのデプロイ・実行環境
  • Cloud SQL … ユーザーデータ・会話履歴の永続化
  • Cloud Storage … アップロードファイルの保存
  • Artifact Registry … Dockerイメージの管理

実装手順

ステップ1:DockerイメージをArtifact Registryにプッシュ

# Docker イメージのプル
docker pull ghcr.io/open-webui/open-webui:main

# 認証を構成
gcloud auth configure-docker asia-northeast1-docker.pkg.dev

# イメージにレジストリ名をタグ付け
docker tag ghcr.io/open-webui/open-webui:main \
  asia-northeast1-docker.pkg.dev/{project_name}/openwebui/openwebui-image:tag1

# Docker イメージをArtifact Registryにプッシュ
docker push asia-northeast1-docker.pkg.dev/{project_name}/openwebui/openwebui-image:tag1

ステップ2:Cloud Runの作成と設定

  1. リソース設定
    • メモリを2GiB以上に設定(Open WebUIの安定動作に必要)
  2. 環境変数の設定
    • OPENAI_API_KEYをSecret Manager経由で設定(キーの直書きは避ける)
  3. ボリュームのマウント
    • Cloud Storageバケットを作成し、/app/backend/dataにマウント

ステップ3:Google Workspace SSOの設定

企業導入では認証が重要です。Open WebUIはOAuth 2.0(OpenID Connect)に対応しており、Google Workspaceアカウントでのシングルサインオンが可能です。

これにより、以下のメリットがあります。

  • 社員は既存のGoogleアカウントでログイン可能——新しいパスワード管理が不要
  • 退職者のアクセスをGoogle Workspace側で一元管理
  • Admin / Userロール+カスタムグループで機能ごとにアクセス制御

主な機能

Open WebUIは単なるチャットUIではなく、企業利用に必要な機能が豊富に実装されています。

チャット機能

  • OpenAI / Anthropic / Ollamaなど複数のLLMプロバイダーに切替可能
  • 会話履歴の保存・エクスポート(Markdown / JSON / PDF)
  • 会話テンプレート(FAQボット、要約モードなど)をプリセット登録

RAG(社内ドキュメント検索)

  • PDF・Office・テキストファイルをアップロードし、埋め込み検索で回答を生成
  • 社内マニュアルやFAQの検索基盤として活用可能

その他の機能

  • 画像生成(DALL·E 3 / Stable Diffusion対応)
  • Web検索ツール(DuckDuckGo APIなどで最新情報を自動参照)
  • コード実行(Pythonサンドボックスでスニペット実行)
  • 音声入出力(Whisperによる音声入力、TTS読み上げ)

導入時の注意点

実際に運用してみて気づいた、導入時に検討すべきポイントをまとめます。

コスト管理

  • API利用量に上限を設定しておくこと(予想外の大量利用を防ぐ)
  • Cloud Runの最小インスタンス数を0にすれば、未使用時のコストを抑えられる(ただしコールドスタートが発生)

セキュリティ

  • Secret ManagerでAPIキーを管理し、環境変数への直書きは避ける
  • Cloud Runのアクセスを社内ネットワークに限定する場合は、Identity-Aware Proxy(IAP)の併用を検討

運用

  • Open WebUIのバージョンアップは頻繁——定期的なイメージ更新の運用フローを決めておく
  • ユーザーからのフィードバック収集の仕組みを用意する(どのモデルが使われているか、どんな用途かを把握)

まとめ

Open WebUIを活用することで、UI実装コストを削減しつつ、運用コストを最小限に抑えた社内GPTを構築できました。

当社の実績では、ChatGPT Teamと比較して年間20〜30万円のコスト削減を実現しています。特に、利用頻度にばらつきがある組織では、従量課金モデルのメリットが大きくなります。

以下のような課題をお持ちの企業にとって、参考になれば幸いです。

  • 生成AIを導入したいが、全社員分のライセンスコストが障壁になっている
  • 機密情報の取り扱い上、外部SaaSの利用に制約がある
  • まずは小規模にスタートし、効果を検証してから拡大したい

社内GPT構築のご相談

Furious Greenでは、Open WebUIをはじめとした社内AI基盤の構築支援を行っています。

  • アーキテクチャ設計・技術選定
  • Google Cloud / AWS上へのデプロイ支援
  • SSO認証・セキュリティ設定
  • RAGによる社内ドキュメント検索の構築
  • 運用体制の設計と社内トレーニング

「自社に合った構成を相談したい」「コスト試算を一緒に行いたい」といったご要望がございましたら、お気軽にご相談ください。

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Author
Seiya Oiwa
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